会員紹介 小倉 茂さん(株式会社サンプラネット)

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親会社エーザイの後方支援が中心業務。
小冊子やポスターなどの販促物を企画制作しています。

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小倉 茂さん
株式会社サンプラネット勤務

●文学部中国語中国文学科 1993年卒業
●志村和久ゼミ(広域中国学)
●東京都荒川区出身

文字BUSINESS-2

サンプラネットは、チョコラBBでおなじみの製薬会社エーザイのサービス系子会社です。業務はエーザイのサービス支援が中心で、私は営業職として主にセールスプロモーション物の企画制作を担当しています。
具体的には、病院などの医療機関で配布されている小冊子や、ポスター、キャンペーンでの景品といった広告宣伝物を、お客様の要望に沿うように提案して、カタチにします。

子会社とはいえ大手代理店と競合することも多く、企画の実現は容易ではありません。中には半年越しの時間を要するコンペになる場合もありますし、価格や納期など、お客様のご希望に合わせることが最初から難しいケースも多々あります。
そうした問題をどう調整するかも、やりがいの一つ。仕事をする中で出くわすさまざまな課題を、自分だけでなく、社内や協力会社の方々とのセッションによって解決していくところが醍醐味です。

あるエーザイ商品のドラッグストアでの販促展開に関わったときの仕事は、これまでの中でもとくに印象に残っています。それは店頭の演出ディスプレイからキャンペーンの方法など、すべてのディレクションを担うものでした。
規模的にもスケジュール的にも自分一人の力で仕切り切れるものではありません。社内の人をはじめ、関係するあらゆる方の力をお借りしながら、助けられながら、限られた時間の中、ようやくの思いで成し遂げることが出来ました。この時ほど「いい仕事ができた」と思えたことはありません。お客様からも評価をいただき、この上ない満足感を得られました。

こうした仕事をする中で思うのは、仕事というのは自身を成長させる源であるということです。リスクや苦しさがあるからこそ、すべてが自分の成長につながっていると感じています。そして、つねに身の丈に合ったハードルが用意されています。
目の前にあるひとつひとつの仕事に誠実に向き合うことこそ私が大切にしている信条であり、人生に欠かせないものであると確信しています。

勤続20年を超えていま、最近では仕事を通しての部下の成長にも関わるようになり、責任感も充実感もいっそう大きくなってきています。

 

文字BUNKYO LIFE

中国の文化や文学を学ぶ日々。
志村和久先生のゼミで学べたことが財産です。

子どもの頃から書道を続けていたこともあり、そのルーツといえる中国の文化や文学を学ぶため、文学部中国文学科の3期生として文教大学に入りました。文教を選んだ理由は、受験生のころ聞いていた「大学受験ラジオ講座」で、漢文の楽しさを教えてくださった志村和久先生がいらっしゃったからです。
入学したあとは何よりもまっ先に志村先生のもとにかけつけて、ラジオを夢中になって聞いていた旨を先生にお伝えして、懇意にさせていただくようになりました。

志村先生は、自称「材木屋」(=木(気)が多い)というほど、普段はダジャレ好きの朗らかな先生でした。日中文化に精通し、博学かつ多趣味でいらっしゃいました。研究室には書籍のみならず、資料やグッズで溢れていました。
3年次からゼミを選択しますが、志村先生は「広域中国学」と称して、中国にまつわるテーマであれば研究内容を許容するスタンスでした。毎年希望者が殺到するため、あらかじめ条件を設けていましたが、その条件というのも、たとえば志村先生が主宰の「散歩会」に参加すること。「散歩会」では横浜中華街や浅草など訪れたことが思い出されます。

3年次の後半から志村先生の体調が優れず、出講する頻度が激減していました。4年次の卒論進捗確認は毎月1回30分程度でしたが、ゼミ生が必要であろう参考資料を毎回用意いただいて、密度の濃い指導を受けることが出来ました。

残念ながらいまは亡くなられてしまいましたが、志村先生のゼミで学べたことはいまだあせることのない、大きな財産になっています。

サークル活動ではバドミントン部に所属していましたが、いつのまにか幽霊部員となってフェードアウト(笑)。草野球チーム「文教バブルス」に所属したりもしていましたが、あまり熱心ではなく、高校の進路説明会などを企画開催する会社でアルバイトをするなどして大学生活を送っていました。
このアルバイトはたまたま求人情報誌でみつけたのですが、思いもよらず、なかなかにいい経験ができました。というのも…

仕事はアルバイトの学生ごとに日本全国の担当地域が割り振られていて、その中で私は東北エリアを任されることになりました。簡単に言えば、東北各地の高校を訪ね、進路指導主任の先生とお会いして、生徒を対象とした「進路説明会」をやりましょうという提案をひとつひとつ実現しようとするものです。仕事としては進路説明会を実現させるとともに、教材の販売なども含まれてはいるのですが…。

何よりも素敵だったのは、その仕事のために1週間かけて東北地方のいろいろな高校を渡り歩き、交渉するすべてのスケジュールから訪問先から全部を私に一任されていたということです。数十万円のお金をどん!と渡されて、あとは自由、という。いま考えても太っ腹というか、少し変わっていますよね。
このアルバイトを通して、仕事のおもしろさと責任と、何よりも「営業職」の楽しさを知ることが出来たと思っています。やはり私は人が好きであり、人と関わる営業職が好きだったのです。

 

文字PRIVATE

趣味は書道、芸術鑑賞、クラシック音楽。
「銭湯」と「居酒屋巡り」で息抜きをしています。

先にもふれましたが長く書道を続けており、日本書道学院の師範(書号:脩竹)の免許を持っています。実は一時は書の道に進むことも考えていたのですが…身の程を痛感して就職したといういきさつがあります。

文教を卒業して最初に、ある大手メガネチェーンに就職しました。
会社では好きな営業職に就いていたのですが、働きながら、長年培ってきた自らの中の「何か」がどうしても頭をもたげてきてしまっていることにある時気づきました。つまり、「書の道」を捨てきれていなかったのです。
そうなったらもう、矢も楯もたまらず、1年あまりでメガネチェーンを退社。所属している書道会の事務局で事務処理や文献の整理などを手伝いながら、ひたすら「書道三昧の」日々を過ごすことにしました。

「書は人なり」という言葉は広く知られています。古くから、書を人に喩えた言葉が残されておりますが、北宋の書家蘇軾は「書に心・気・骨・肉・血あり」と評しています。
書は書き手の心のありようを写す鏡であり、年を重ねるごとに表情を変えていきます。技術的な「うまさ」が際立った書より、奇をてらわない、ありのままが反映された作品を発表していきたいと、これは当時もいまも変わらず考えています。

「山秀朗」(やましゅうろう)元・袁桷の詩句「山色が美しく、秀でて朗らかである」※行きつけの「饗酒堂 温十条店(東京都北区)」に寄贈

「山秀朗」(やましゅうろう)元・袁桷の詩句「山色が美しく、秀でて朗らかである」※行きつけの「饗酒堂 温十条店(東京都北区)」に寄贈

書道に打ち込んだ生活も1年もすると、世界の厳しさが身にしみいるようになり、再就職を目指すことを余儀なくされるようになりました。新たな職場=サンプラネットに幸運にも救われて、現在に至ります。

ありがたくもサンプラネットでの充実した日々は前述のとおりですが、やはり仕事の合間合間での息抜きは欠かせません。
音楽や芸術が好きなので、休日など、ふだんはクラシック音楽をよく聴きます。世界の小澤征爾さんは子供の頃から好きな指揮者です。また、いつもたくさんの人と接しているため、ときどき「銭湯」に行ってぼーっとしている時間をつくっています。あとはお酒が好きなので、「居酒屋巡り」がこの上ない気分転換になっています。

皆さんとも、仕事を超えた、何らかの形で交流を深められるといいですね。ビジネス同友会のメンバーとの新たな出会いをこの先楽しみにしています。

 

文字FAVORIT ONE

【わたしのイチオシ本】

『踊り候え』鴨居 玲 著

鴨居怜_踊りたまえ

私の好きな画家、鴨居 玲の著作です。大学在学中の頃、鴨居の絵と出会い、陰鬱で暗く重い画風は決して心地のよい絵ではありませんが、見るたびに心を釘付けにされました。

本書『踊り候え』は、スペインでの生活のエピソードや、画家としての生きざまを記したエッセイ集です。絵のタッチとは正反対の、ユーモアにあふれた軽妙な文章で綴られています。鴨居の絵に興味がなくても、気軽に読めるエッセイ集としておすすめします。人生は、かくも味わい深いと、胸にしみいります。